3才以上の犬猫の約8割が歯周病に罹患しているといわれています。外見的には歯冠部(目に見えている部分)に付着している歯石は気になりますが、歯周病には気づかれていないオーナー様がほとんどです。実は歯周病とは歯の汚れやニオイだけではなく歯の周りや、さらに顎が腐る感染症なのです。
*矢印の部分は、歯の周りの骨が腐っていますので抜歯が必要になります。
当院ではちょくちょく歯周病治療をする機会に恵まれますが、今回一治療例をお示ししたいと思います。
全身麻酔下での処置が一般的です。
無麻酔下の処置は
①歯の見える場所の歯石だけ取っても、歯周ポケットの中の歯石歯垢はとれない
②歯周病の治療や予防にもならない
③歯や歯の周囲を傷つける可能が高く、危険である
④歯に痛みと恐怖心をあたえるという理由でお勧めしません。
★無麻酔下での処置が不適正であることは、日本小動物歯科研究会やアメリカ獣医歯科学会においても示されているところであります。詳しくは【日本獣医学会】のページをご参照下さい。
事前に、術前検査を行って安全な麻酔を心がけます。
当日は、絶食でご来院頂き点滴をして全身麻酔をおこないます。
処置前には当院では必ず歯科レントゲン検査を行います。
通常のレントゲン検査ですと上下左右の顎や歯が重なるため、口の中にセンサーを入れて撮影する口内法で撮影します。
今回はトイプードルの11歳の子の処置をいたしました。
外見上は中程度~重度の歯石沈着が見られました。
そこで、処置前にレントゲンを撮影してみました。
この部位では、歯槽骨の吸収は少なく軽度歯周炎であることがわかりました。
この歯(矢印)だけは歯槽骨の吸収がみられましたので、抜歯の適応でした。
以上のように、見た目ではわからない異常がレントゲンで明らかになりました。
よって1本のみの抜歯と残りはスケーリング(歯垢、歯石除去)、ルートプレーニング(歯肉縁下の歯石除去)、キュレッタージ(歯周ポケット内の不良な組織の除去)、ポリシング(研磨)を行いました。
抜歯後は、歯肉縫合をして終了いたしました。
ワンちゃんやネコちゃんの口臭や汚れが気になるオーナー様、先ずはご相談下さい。デンタルケアのアドバイスも行っております。
かそり動物病院 043(234)8857