犬の乳腺腫瘍は、♀(女の子)のワンちゃんに発生する腫瘍のなかで最も多くみられる腫瘍といわれております。
犬に発生する腫瘍全体の25-50%を占めるともいわれております。
発生要因としては、ホルモンの影響があると証明されております。したがって避妊手術を初回発情(シーズン)前に行った場合は乳腺腫瘍の発生率はほとんどなく、2期目以降に手術した場合は26%にも上昇すると考えられております。
では、2回目以降の発情期を過ぎたら避妊手術を実施しても今後の乳腺腫瘍形成の予防効果はないのか?? ⇒この件に関しましては次回また機会をみてUPしたいと思います。
良性、悪性については約50%が悪性(残りの50%が良性)であり、さらにその約50%が転移をおこす厄介な腫瘍です。これは俗に50%ルールと呼ばれております。
悪性かどうかは、①しこりの大きさで3cmを超える場合
②リンパ節への浸潤がある場合
③多臓器への転移が既にみられる場合
④病理検査のよる悪性度 などが決め手となります。
治療法としては基本的には外科的に腫瘍摘出を行います。
摘出方法は、①腫瘍と周囲乳腺組織を切除
②部分的な乳腺切除(1~3、3~5乳腺切除)
③片側乳腺全摘切除 などがありますが、ワンちゃんの全身状態や腫瘍の数や部位などを考慮して決定いたします。
★今回は、当院で実施した1例をご紹介いたします。ミニチュアダックスフンドの12才女の子です。(使用する写真はオーナー様に使用の許可をとってあります)
左側の第3乳腺に出来た大きさ3cmの腫瘍でした。
今回はオーナー様とお話合いの結果、左側片側乳腺全摘手術を実施いたしました。
お腹のしこりに気が付きましたら、まずはご相談ください!